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風化風葬

更に更新

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風化風葬-4-

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俺は至極まともな考えの持ち主だと常々思っている
この世間の荒波の中でちゃんと自分を持っている
リアリストでもあるから、現実をあまり悲観したり卑下したりもしない
けど、

建前とタ建前とか、嘘の付き合いとか、心の中で罵倒とか
そんなのが当たり前の日常。もう大分慣れたけど、
やっぱりたまに嫌にはなる

俺はこんなことがしたかったのかとか、
小さい頃の夢はなんだったっけとか、

ただ、なんでこんなことを今更考えているのかというと、

顔を上げ、視線を真っ直ぐに伸ばす
そこには宙に吊られている



朝、ボーとして歩いてたら向かって来た自転車を
うまくよけられなかった。なんたる失態。しかも

よりによって足

腕とかだったら別段日常には支障はなかった筈なのに

とどのつまり俺は非常に

暇なんだ

否、少し訂正しよう。昨日まで

暇『だった』

今現在、俺には

「おはようございます。ハラオウンさん検温の時間ですよ」
「あ、あはようございます」

潤いが出来た。普通に日常を送っていたんじゃこれは体験出来ない
極上の潤いだ。神様もたまには真面目に生きてる奴にご褒美をくれる

彼女がこの病院に入院して来たのはほんの一週間前
最初は救急車で運ばれて来た
なんでも大きな怪我をして自宅で療養治療中だったのだか、
外出をした先で暴漢に襲われたらしい

まぁ、襲われたといっても手遅れになる前に助けられたみたいで
それは不幸中の幸いと言えなくも無い

だけどその所為で治りかけていた傷が酷くなってしまったそうだ

可哀相に。もし、俺がその場にいたら俺が助けてやったのに
これでも中学、高校と柔道をやっていたから

早くその暴漢達が捕まるのを祈るばかりだ

そして3日間だけ個室で治療を受けて、それからこの病室へと
やって来たわけだが、

『フェイト・テスタロッサ・ハラオウンです。宜しくお願いします』

流暢な日本語を話す綺麗な外人

それが彼女の第一印象だった
俺は「はぁ・・・」なんて間の抜けた返事しか返せなかった

それからはころころと彼女の印象が変わる

まずお見舞いに来る人数が半端じゃない
毎日毎日老若男女問わずたくさんの人間が彼女を尋ねて来る

しかも中には見たことの無いような軍服のような制服を着込んだ
連中も『すまん着替える暇が無かったんだ』と言いながら彼女を見舞った

どうやら彼女は特殊な機関に勤めている役人らしい
しかも位の高い役職に就いていると見た

会社で言うとエリート管理職といった所か

穏やかでふわふわとした外見からは想像が出来ない

だけど驚いたのはそれだけじゃない

「フェイト!!」

走って入って来るなり凄い勢いで彼女の首根っこに抱きつく女

「フェイト!そこらの病院に電話して捜したよ!!」
「お、お姉さん・・・く、苦しいです」

ちょっと待て、お姉さんって言ってるがどうみても彼女の姉ではないよな
どうみても化粧の濃さとかから言ってキャバ嬢かなんかだろ?
しかも結構な美人だ

おいおい一体どういう知り合いなんだよ

「あれからずっと心配してたんだから!」
「すいません。私もお姉さんのこと心配してたんですけど、
無事で良かったです」

相手の目元を人差し指で拭う仕草に俺の方が赤くなってしまった

「あんたの世話はあたしがするからね!」
「せ、世話って?えぇ?!」
「絶対絶対あたしが診るんだから!」
「お姉さん、お、落ち着いて下さい」

こんな風に言われたら、普通の男だったら絶対に喜ぶぞ?
なんだか男として負けた気分だ

どうやら彼女は。女にしておくのは勿体無いタイプでもあるらしい

だけど一番驚いたのが


「フェイトママ!」


これだ

髪をサイドに束ねた女の子に連れられて来たその子は
そう言うと彼女のベットの上に上半身を乗せ、同じ金髪に頭に手を伸ばし撫でた

「フェイトママ痛い?」
「大丈夫だよヴィヴィオ」

ママ?今、ママって言ったか?!
そ、そりゃあよく見れば似てるけど、だけど計算が合わないだろ?!
彼女確か20歳かそこらだったような気がするぞ?
どうなってんだ?

そんな俺の心の狼狽は知るよしも無く、会話は続けられていく

「ヴィヴィオ、こうなったのはフェイトちゃんが悪いんだからいい子
いい子してあげなくていいからね」
「な、なのは・・・・」

珍しくしょげたような声を上げた彼女
サイド髪の女の子はきっと彼女の親友かなんかなのだろう

『ママ』っていうのもきっと、何かの愛称かなんかなんだ
確かに『母親』みたいに頼りにはなりそうだしな

が、

金髪の幼い子はサイド髪の女の子を見上げると

「ママ、フェイトママに意地悪しちゃダメだよ?」

と、言った

「ヴィヴィオ、なのはは悪く無いんだよ?本当に私が悪いんだ」
「でも、リンディさんはフェイトママ良い事したって言ってたよ?」
「そうだね。でもね。フェイトママたくさんの人に心配かけてまで
良い事しちゃったんだもんね」
「な、なのはまだ怒ってるの?」

な、なんなんだ?こりゃあ・・・これじゃまるで・・・

「家に帰って来るのが一ヶ月の伸びたんだからね」
「す、すみません・・・」


夫婦の会話じゃないか?

ちょっと待て、えっと・・・彼女は・・・彼女だよな?
まさか実は男だ。って事は無いよな?

駄目だ頭がこんがらがって来た

そこで考えを整理する為に一度松葉杖をついて病室から抜け出した


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中庭のベンチに両腕を預けて座って空を見上げる

青い。ほんと青い

しかしこの居た堪れない胸の内はどうしたものか
俺はリアリストだ。うん
かと言って自分の想像を超えた次元の出来事がこの世に
存在しないなどと考えるアンリアリストでも無い

でも実際そういったのを目の当たりにしてしまうと
臆するのが人間だろ?

俺ってなんて人間的なんだ

あー、煙草持ってくればよかった


「お兄さん?」


突然見上げてた青い空が消え、知らない顔が視界に入る

「ふむ」

こんな所でもアンリアリズム
でもいい。もう慣れた
この世で生きてきくには適応能力が必要なんだ

「なんやいいお天気やのに、憂鬱そうな顔してるな思ぉて」

それだけで普通話かけるか?

体を起こす

「今日はなんだか雪が降りそうな気がして」
「こんな良い天気なのに?」

こうなったら俺も世界を逆行してやるんだ

「そう」
「こんな良い天気なのに?」

目の前の人物はもう一度同じ言葉を言う


「うーん。ほなら私が雪降らしたりましょうか?」


世界は目を凝らすと、
メタファーでコアなもので溢れている

「それも楽しいかもしれない」

雪が降ったら久し振りに雪ダルマでも作ろう





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