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EDENⅡ-24- 最終話


EDENⅡ-24-最終話


手が届きそうで届かない

私達はいつも、そんなものを求めてるのかもしれない


それはほんの少し先にあるものなのに


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EDENⅡ-24-

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海鳴市に帰ってきて三日目、
季節外れの海に私達三人は遊びに来ていた

「やっぱり誰もいないね」

フェイトちゃんはそう言うと風で顔にかかった髪を耳にかけた

「でもこんな海もいいよね」

波の音だけが周りには満ちている
その他には何も聞こえない

とても静かな気持ちになる

「ちょっと行って来る!」

ヴィヴィオが嬉しそうにそう言って走り出した
その背中を二人で見送り、そっとフェイトちゃんの手を握る

「フェイトちゃん私達は。あっちにいこっか」

ゆっくりと砂の上を手を繋いで歩く

「なのはと手を繋ぐのって久しぶりな気がする」
「そうだね」

なんだか少し泣きそうになった

今私の隣にいるこの人はフェイトちゃん
私の大事な大事な人

こんなに大事な人はこれまでもこれからもきっといない

それをとても恐いと思う時がある

だって今回みたいに私には何も出来ないことが多すぎて
その度に自分を見失って、間違ったことをしてしまいそうになって
それが取り返しのきかないことだったらどうしようと考えると

恐い

これ以上その存在が自分にとって特別になってしまったら

恐い

だから距離を置こうとして、離れて暮らそうと言った
でも駄目だった。やっぱり側にいてくれないと嫌で
それでも迷っていた私に、フェイトちゃんは『家族の証』をくれた
とても嬉しかった

でも

フェイトちゃんが事故にあって、どうしてか分からないけど
意識が幼いアリシアになってしまって

突然、手を伸ばしても掴めない所に行ってしまった

とてもとても恐かった

そして私は

私はやっぱり何も出来なかった
挙句アリシアの意識になったフェイトちゃんの事を、
認めようとはしなかった。受け入れられなかった
あれはフェイトちゃんであってフェイトちゃんじゃないって

拒絶した

戻ってくると、信じてたつもりでも
信じきれてなかった

「なのは。海の風って気持ちいいね」


弱い私


フェイトちゃんのことになると、どうしてこんなに弱くなってしまうんだろう

「なのは、ここに座ろう」

海を一望出来る少し高い丘の上に座る
私はなるべくフェイトちゃんの側に寄った

ヴィヴィオが波と追いかけっこをしているのが見える
大分大人びて来たけど、まだまだ子供だなって思った

ヴィヴィオにも本当に寂しい思いや、痛い思いをさせてしまった
きちんと守ってやれなかった


弱い弱い私


「なのは。どうしたの?」

朱色の瞳が私を覗き込む。綺麗な色

「なんでも無いよ。フェイトちゃん」
「今回のこと、考えてたの?」

フェイトちゃんには何でもお見通し
だから黙って頷いた

「ごめんね。なのはとヴィヴィオには色々迷惑かけたね」
「ううん。フェイトちゃんの所為じゃないから」
「私が最初に無茶しちゃったから」
「そこはちょっと、反省して欲しいかな」

私の言葉にフェイトちゃんが苦笑いをして反省してます。と言った

「でも無事でよかった。帰って来てくれてよかった」
「どんなことがあっても帰って来るよ。二人が待っててくれるなら」

それから暫く二人で黙って海を眺めた
そしてふっ、と思いついた


「フェイトちゃんと、一つになれたらいいのに」


そう言ってしまうとそれが一番良い考えのような気がした
一つになれたら離れなくてすむ。いつも側にいられる
どうやったら一つになれるんだろう

私達はどうして一つになれないんだろう

でもフェイトちゃんは

「駄目だよ」

やんわりと私の願いを退けた

「そうだよね。変なこと言ってごめんね」

私は視線を又、海へと向ける
この海の先には何があるんだろう
そこには何があるんだろう。どんな人がいるんだろう

「だって一つなったら」

肩を抱き寄せられる

「こうやって、なのはの温度を感じる事が出来ないし」

触れている部分はとても温かかった

「なのはとお話することも出来ない」
「うん」


フェイトちゃんは海に似ている


「なのはが泣いてる時、抱きしめる事が出来ない」


どこまでも広くて優しい


「だからなのはと私は別々でいいんだ」

フェイトちゃんがそう言うならきっとそう
私達は別々でよかったんだ

私はポケットからシルバーのリングを取り出した

「あぁ。それ、なのはが持っててくれたんだね。
アリシアが無くしたのかと思ってたよ」

私はフェイトちゃんの左を取り、前に私がされたみたいに
その薬指にリングを通した

「ありがとう。なのは」

フェイトちゃんが微笑む
私も微笑む

永遠なんて無いけど
永遠に続いて欲しい時間はある

フェイトちゃんは私じゃないから
私はフェイトちゃんじゃないから


だからこんなに愛しいんだ


これからも色々なことがある
相手の事を考えて苦しくなったり、悲しくなったり、
やっぱり恐くなったり

きっとそんな事の繰り返しなんだろう

でもそれ以上にこの掌の中にはたくさんの『愛』が溢れている


「ねぇ、なのは。私と-------------」


色々な壁を越えて今私達はここにいるんだ


「いいよ」


でもちゃんと一緒にいる


「ありがとう」


二人の左手が絡まり、カチリと金属がぶつかる音が響いた



「ママーーーーーー!!!ビニール袋みたいなのが一杯いるーーーーーー!!!」


遠くから響いてきたヴィヴィオの声に
フェイトちゃんは素早く反応して立ち上がる

「ヴィヴィオ!それクラゲだから!!絶対に触っちゃ駄目だよ!!」

そしてフェイトちゃんはヴィヴィオに向かって走り出した

そんな光景を夢の中にいるみたいに眺める

私が魔法と出会って随分と経つ
もし私にこの力が無かったら今いる世界はきっと違って見えたんだろう
出会った人達も皆いないんだ

そう思うと全てが奇跡みたいに映る


私は愛し続ける

この世界を


「ママ!こっちにおいでよ!」
「なのは!」


貴方達を



いつまでも


いつまでも



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EDENⅡ-Curtains Close-





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