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EDENⅡ-19-


EDENⅡ-19-



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EDENⅡ-19-

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薄暗いジメっとした廊下をゆっくりと慎重に
手を繋ぎながら歩く

だけど誰かと出くわす事も無い

「いつもこんな風に誰もいないの?」
「おっかしいなぁ~いつもはもうちょっといるんだけどなぁ~」

建物の中はシンと静まり返っている

「どこに何があるか知ってる?」
「うん。大体分かるよ」

その返事に安心する。一人だったら手当たり次第の部屋を探さなくてはいけない所だった

「私と一緒にいた子もここにいる筈なんだ。その子を捜す」
「その子もコピー人間なの?」

私はそれに返事をすることはしなかった

「とりあえずその子を見つけたら一緒に連れ出して、管理局に知らせて、
ここの皆を保護してもらう」
「うん。あんたに任せるよ」

女の子はニコリと笑った
初めて見るその子の笑った顔に少しだけ胸が熱くなった


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私は考える

フェイトママが誰かの代わりに生まれて来ただなんて、
そんな事一度も聞いた事が無い

でもそれはただ、私に言わなかっただけだとしたら
確かに教えて貰った所で私は困っただけだと思う

それよりも、フェイトママが誰かの代わりとして生まれてきたんだとしたら
一体誰の代わりに?


その答えは薄々分かっていた


『もう、ヴィヴィオお姉ちゃんたらぁ。母さんの名前はプレシアだよ』

もしかしたら

『プレシア・テスタロッサだよ』

そして

『こっちがプレシア母さんでこっちが』

確かあの時、フェイトママは

『こっちが』

そうだ、確かに言った


『こっちが『アリシア』姉さん』


アリシア


点と線が繋がる

その事実に少なからずショックを受ける

フェイトママは、


アリシアの代わりとして生まれて来た


『ねぇヴィヴィオ。人ってね、自分がとても幸せだとたまに不安になるんだよ。
色々と悲しい思いをしたり、苦しい思いをした人なら尚更なんだ。』

フェイトママは悲しい思いをしたの?苦しい思いをしたの?
自分がそうだって知ってたの?

『あの時は全部自分が悪いんだって思った。
自分が弱いから母さんも助けられなかったし、皆にも凄く迷惑をかけた。
こんな私が幸せになれるわけが無いって』

全部自分が悪かったってフェイトママ何かしたの?
フェイトママとプレシアさんの間に一体何があったの?

でもそう考えると


アリシアは過去に死んだ人間
もうこの世には存在しない人間

ただ、今はフェイトママの中で生きている
それともフェイトママはもう完全にアリシアになってしまったのか

どちらにしてもどちらかを失うんだ

そう考えた時、とても悲しかった


この想いは


フェイトママのことを裏切ってる


「ねぇ、死んでしまった人を完全に生き写すことは出来ないんだよね?」
「そうだよ。今までに誰も成功したことは無いらしいよ。
コピー出来るの結局外見だけなんだ。連中は中身もコピー出来るように研究中なんだよ」
「コピーって言うの止めようよ・・・」

なんだか響きが無機質で好きになれない

今まで誰も成功した事が無い
でもフェイトママはアリシアとして覚醒した


それを意味するのは


「じゃあさ、もし完全に生き写すことが出来たとしたらどうなるの?」

繋いでいた手をぎゅっと握られる

「凄い強い人とか何人も造る事が出来るから、戦争がたくさん始まるだろうね。
世界は終わっちゃうだろうね」

今のフェイトママはある意味完全に外見も中身もアリシアの生き写し


きっとそれを利用される


体中に悪寒が走った

手を握るその子の体に目をやる

きっとアリシアにも同じ事をしようとしている
否、多分もっと酷い事を


そんな事をしたら絶対に許さない
そんな事をしたら私が



殺シテ ヤル



我に返る

なんて事を考えたんだろう。違うそんなんじゃない。それは絶対いけない事だ
ただ、一刻も早くアリシアを見つけ出してここから出る事だけ考えないと

私達は歩くのを早めた


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一つの扉の前で急に立ち止まった

「この向こうが実験場だよ」

女の子の顔から色が無くなっていく

「ここで色んな事されるんだ」

震え始めた女の子を見て、私はいてもたってもいられずにその扉を開けた
目の前に広がったのは何台かのベットと色々な器具

だけど誰もいなかった

「おっかしぃなぁ大体いつもここには何人かいて実験してんのに」

呟く女の子に私は更に確信を持つ

「きっと、もう実験なんかしなくてもいいんだ」
「え?どうゆう事?」
「私と一緒にいた子が、ここの奴等が欲しがってる人間なんだ」
「それって・・・・」

女の子は少し考えてから私の手を引っ張った

「なんで早く言わなかったの!それって大変な事だよ!!行こう!
きっとその子特別実験室にいるよ!きっと連中も皆そこに集まってる!!」
「特別実験室?」

走りながらその背中に問いかける

「より近く『F』に近づいた子がいる場所だよ!あたしも一回だけ入ったけど 
一番やばい所だよ!急がないと!」

何処をどう走っているのか分からなかったけど、建物の奥へ奥へと進んでいる
何個もの扉の横を駆け抜けると

一番奥の突き当たりに今までの扉より一回り大きな扉が現れた

「ここだよ!」

その言葉を合図に私は魔方陣を掌の前に展開させる


ドンッと大きな音と共に扉が吹き飛んだ


さっきの部屋とは違いそこは大きな広間のようになっていて
たくさんの人間が白衣とマスクと手袋をつけ、手にはそれぞれ器具を持っている

今、まさに何かをしようとしている風だった

怒りが全身を駆け抜ける

私はその集団に向けもう一発放つ

吹き飛んで行く集団を突き飛ばし進む

「アリシア!!!」
「お姉ちゃぁ・・・・ん」

小さな泣き声が聞こえた

私の前に立ちふさがる複数の人間


「はぁぁあああああああああ」


手を上に翳し、フェイトママから教わった雷系の魔法を落とす

轟音と共にバタバタと倒れていったその先に、やっと見つけた

「アリシア!!!」

寝台に手足を縛られ寝かされている
間一髪どうやら間に合ったようだ

「アリシア!怪我は無い?」
「うっ・・・えっ、お姉ちゃ・・・恐かったよ・・・」

その頭を撫でてやる

「私が来たから大丈夫だからねアリシ」


言葉の途中でがくりと体が落ちた
地面に倒れこまないようにベットの端に咄嗟に縋りつく

「こ、れ・・・は」

首だけで振り返ると、手を自分に向けかざしている白衣の人間達
倒れている人間もこちらに手を向けている

その掌の中心には光石が埋め込まれている

あの牢にいた時よりもずっとずっと強く力を吸い取られているのが
自分自身、体で感じた

「う・・・そで・・・しょ?」
「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」

又、同じ失敗を繰り返してしまった。生身の人間だからといって油断した

なんでもっとよく考えなかったんだろう

「ごめっ・・・ア・・・・リシア」
「ヴィヴィオ!!」

女の子の叫び声も聞こえた。両脇を抱えられ羽交い絞めにされている

私はなんとか魔法陣を造りだそうと詠唱を始めた。途端

「っぐ」

脇腹を蹴り上げられた

そのまま床に倒れこむ

「一体何なんだこいつは。どうやって抜け出して来た」

私は立ち上がろうと地面に腕を着くと
今度は顔を蹴り上げられた。口の中に錆びたような味が広がり
全身が軋んでいる

「まだそんな力があるのか。一体何者なんだ。大事な実験を邪魔しおって」
「アリ・・・シアを・・・・離せ・・・・」

髪を掴まれ上へと引っ張られる

「ん?お前は確か、完全体と一緒にいた奴じゃないか」

マスクの中の顔がニヤリと笑った気がした

「お前のお陰で随分と楽に連れ出す事が出来た。礼を言うぞ」

私のお陰で?

私がアリシアを連れ出したから?

唇を噛む


だからこんな事に


「これから完全体の実験で忙しいんだ。かと言ってお前を入れておけるような
Sランク級の魔法を使う者を制御する石はここの人間にしか嵌め込んでいないし」


アリシア。ごめん。ごめんね


「面倒だ。今ここで始末してしまうか」


どんどん体から力が抜けていく


「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」


私はもう駄目なのかな
結局誰一人救えないのかな


悔しさと痛みで涙が出て来た


『ヴィヴィオ』


優しく私の名を呼ぶ声が聞こえる


『大丈夫だよ。私もなのはも側にいるから』


「フェイト・・・ママ、フェ・・・・・イト・・・・ママ」



会い・・・たいよ


「お姉ちゃん!!!!!!」



フ・・ェイ・・・・・トマ・・・・




「死ね」



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