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EDENⅡ-13-


EDENⅡ-13-




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EDENⅡ-13-

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真っ青な空の下で、
一歩一歩確かめるようにゆっくりと歩いて私に向かって来る
なんだか手足の動かし方のバランスが悪く、
見ていて転ぶんじゃないかってハラハラする

だけどここで手を出しちゃ駄目だ我慢我慢

「ほら、アリシアもうちょっとだよ頑張れ!」

アリシアは汗を浮かべながらコクリと頷いた

リハビリも兼ねて少しづつ体を動かすようにとお医者さんに言われたので
まずは歩くことから始めた

最初は大きくなった体に違和感と嫌悪を訴えて
ベットから起き上がろうともしなかったけど

「歩けるようになったら私と一緒に遊べるんだよ?」

そう言ったら少しだけ考えて

「お家にも帰れるかな」

と、呟いた
それに返事をすることは出来なかったけど
どうにかベットから起き上がる気になってくれた

フェイトママの心がアリシアになってから約半月

アリシア本人は自分で分からないことが多すぎてどうしたらいいのか
分からずにとまどっている

どうして誰も迎えに来ないのか
どうして体が大きくなったのか
どうしてそれを説明してくれる人がいないのか

まるでそれはきっと真っ暗な光の射さない穴の中に落ちたみたいで
助けを求めても求めても誰も来てはくれない助けには来てくれない


だけどそれは私も一緒で

アリシアが一体誰なのか
フェイトママと一体どんな関係にあるのか

今だに分からずにいる。きっとママ達は知っているのだろうけど
私には教えてくれない。歯がゆい気分のまま、それでも毎日病院へ通った

フェイトママが心配だっていうのは勿論なんだど、
どうしてかアリシアも気になって

だって誰も、誰もアリシアのことをアリシアと呼ばない
かと言ってフェイトと呼ぶとアリシアが怒るのでフェイトとも呼ばない

今、名前を呼んでくれる人は私以外にはいない

それはママも一緒で、それは私にしてみれば意外だった
ママはいつでもどんなことも冷静に判断出来て行動して

私はきっとアリシアともうまくやっていくんだろうなって予想していたから
だけど今のママはなんだか余裕が無い
病院には来るけど、あまり話をしないし長居しない
そしてなんだか夜遅くまで色々と調べているみたいだし
時には病院に来ないでずっと無限書庫にいたんだって言う日もある

ママの気持ちは凄くよく分かるけど

「ヴィヴィオお姉ちゃん!」
「おっとっと」

体ごと抱きつかれる

「お姉ちゃんの所まで来れたよ!」

嬉しそうに笑いかけられ、私はその頭を撫でる

「頑張ったね。アリシア」

そう言うとエヘヘと無邪気に笑う

外見はフェイトママなんだけど中身は本当に小さな子供で
私にはどうしても、アリシアがフェイトママとは別の人間だって思ってしまっている

それが良いことなのか悪いことなのかは分からないけど
ママには言わない方がいいってことだけは分かっていた


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休憩も兼ねて病院の庭のベンチに並んで座る
木々の間から光が漏れてそれが私とアリシアに注いでいる

頭一つ分高いその姿は黙っているとまるで、フェイトママと一緒にいるようで
懐かしいような気持ちになる


『ヴィヴィオ。学校は楽しい?』
『うん。楽しいよ。フェイトママのお仕事は?』


けど

「ヴィヴィオお姉ちゃん。うさちゃんは?」
「うん。ちゃんといるよ」

ポケットからうさぎのぬいぐるみを取り出す

「うさちゃんも見ててくれた?」

ぬいぐるみを目線へと持ち上げ、そう話かけた

私の中の幻想も崩れていく

その行動を奇妙な目で周りを歩く人達が見ている
私は頭を一つ振る

「アリシア」

ん?と首を傾げて私のことを見る

「アリシア」

もう一度名前を呼んでみる

「変なお姉ちゃん。でも嫌だなお姉ちゃん同じ顔」
「同じ顔?」
「うん。同じ顔してる」

一体何を言っているのか分からないがその表情は寂しそうに見えた

「誰と同じ顔なの?」

アリシアはうさぎのぬいぐるみをぎゅっと胸に抱いた

「皆と同じ顔」
「皆?」

コクリと頷いた

「ここの人達皆。わたしの顔見ると寂しそうな顔するの。
母さんと一緒にいた時は皆わたしを見ると笑ってくれて、話しかけてくれて
時々遊んでくれたのに。今は違うの」

あ、と思う。確かに色々な人がお見舞いに来るけどその度に
誰?という顔をされて、今のフェイトママの事情を説明されて
自分の事を覚えていないと分かったら途端皆驚いて、
その後寂しそうな顔をする

フェイトママに忘れられたということを受け入れられないんだ

でもそれはアリシアの責任では無い

「でもね。一番寂しそうな顔するのはね、ヴィヴィオお姉ちゃんの母さんだよ。
いつもね、泣きそうな顔でわたしの事見るの。どうしてなの?
お姉ちゃんの母さんわたしのこと嫌いなのかな・・・」
「違うよ!」

直ぐに否定する

「そんな事ないんだよアリシア」

でもなんて説明すればいいんだろう
そう考えを巡らせてから、いい考えを思いついた

「私にはね、ママが二人いるんだよ」
「二人?」

不思議そうな顔で首を傾ける

「うんそう。私にはなのはママと、もう一人ママがいるんだよ
今はね、お仕事で遠い所にいて側にいないんだ」
「側にいないの?わたしと一緒だね」

そうだね。と言って笑いかける

「それで二人のママは凄く仲が良いから、離れてると寂しいんだよ。
だからママ、いつもは笑ってるんだけど。今はあんな顔してるの」
「そうなんだ・・・じゃあ帰って来たらきっとわたしにも笑ってくれるよね。
早く帰って来るといいね」

ズキリと胸が痛む

フェイトママが戻って来たら


代わりにアリシアは消える


だけど、やっぱり何て言っていいか分からなかった、なんの言葉にも出来なかった

「ヴィヴィオお姉ちゃんのもう一人の母さんってどんな人?優しい?」

その質問で、頭に浮かんだその姿に自然と顔がほころぶ

「優しいよ。誰にでも優しくて、綺麗で強くて。私の自慢のママ。
いつも私達を守ってくれるんだよ。お仕事で中々会えない時もあるけどね」
「わたしの母さんと同じだね!」

アリシアが嬉しそうに叫ぶ
でも又すぐに寂しそうな表情

「ヴィヴィオお姉ちゃんはいいなぁ~二人も母さんがいて。
あのね。わたしの母さんのお仕事凄く大変なんだよ。大事なお仕事をまかされてるんだって。
だからね。中々一緒にはいられないの。今だってきっと忙しくて、
それでわたしのこと迎えにこれないんだと思うの」

じわりとその目尻に涙が浮かぶ

「だからヴィヴィオお姉ちゃんみたいに母さんが二人いたら
どっちかの母さんは迎えに来てくれるでしょ?どっちかの母さんは側にいてくれるでしょ?
わたしもきっと二人の母さんがいたら寂しくないよ」
「アリシア」

目尻に浮かぶ涙を人差し指の背で拭う

「でもね。わたし大丈夫だよ!きっと母さん迎えに来てくれるもん!
今だってきっといなくなったわたしのこと心配して探してくれてるよ!
そして迎えに来てくれるよ!あ・・・でも・・・」

自分の掌を覗くアリシア

「どうしよう・・・こんな大きな体になっちゃって・・・
母さん分かってくれるかな・・・・どうしてこんなに大きくなっちゃたんだろう・・・」

何の説明もしてやれないことがとても悲しい
自分がもしそうなったら。アリシアと同じ立場だったらと考えると、
暗い気持ちになる


暗い穴の中で一人


「大丈夫だよ。アリシアのママはきっと分かってくれるよ。アリシアのこと」

今の私にはこんな気休めの言葉位しかかけてやる事が出来ない


ごめんね


「そうだよね。きっと分かってくれるよね。それに」

アリシアは顔を上げて私に向かって笑って見せた


「ヴィヴィオお姉ちゃんがいてくれるから平気だよ!誰も笑ってくれないけど、
ヴィヴィオお姉ちゃんは笑ってくれるから平気だよ!」


今度は

私が泣きそうになった

でも駄目

私は、私だけは笑っていてあげなくちゃ


迎えに来てくれる人が誰もいないこの子は、この世界で一人ぼっちで

一人ぼっちで頑張っている

一層強くなる想い


私が

私が守ってあげなくちゃ


「わたし、早くちゃんと歩けるようになるからね!」


そう言ってアリシアは立ち上がった
うさぎの人形を握りしめながら

「今度はあそこの木まで行って戻って来るね!」

そしてまたヨタヨタと歩き出した

その背中を見ていたら


勝手に涙が出て来た







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