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EDENⅡ-11-



EDENⅡ-11-




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EDENⅡ-11-

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フェイトママの目が覚めてから三日


ベットの隅で膝を抱えて小さくなっている人は、
何処からどう見てもフェイトママなんだけど

脇に座っている私の事を時々ちらちらと見ては
不安そうな顔をする

「まだ何処か痛い?」

そう問いかけると首を振り、膝に顔を埋めてしまった
そして肩を震わせて泣く


まるで子供みたいに


ううん。『みたい』じゃない。今だに信じられないけど、
フェイトママは今、フェイトママじゃない

フェイトママは自分の事を『アリシア』だという

知らない名前

しかもどうやら『アリシア』は幼い女の子らしい


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意識が戻ったと病院から連絡があってママと急いで駆けつけると
驚いたことにフェイトママは病室で泣きじゃくっていた

『お家に帰して!お家に帰して!』



その様子を呆然と見ていると

『わたしはフェイトなんかじゃない!』

耳を疑った


フェイトじゃない?


『わたしはアリシアだよ!』


アリシア?


その瞬間ママの顔色が一気に青ざめていくのが分かった

「アリシア・・・」

そう呟いて、ママは本当に今にも倒れそうになっていたから
私はその腕を掴んで支えた

「ママ、大丈夫?アリシアって何?」
「分からない・・・」

だけど今この目の前で起こってることがどうやら大変な事なんだと分かる
だからもう一度聞いた

「アリシアって何?」

ママはそれには答えなかった。顔を見るととても話せる状態には無いようだ
だから私も黙ったままガラスの向こうを眺めていた


フェイトママは泣き続けている


これは何?


ママ達が先生に呼ばれて別の部屋にいっている間も
ガラスの向こうでフェイトママは一人で泣き続けていた

私はなんだか胸が痛くなって我慢出来なくて

そっとそのドアを開けた

入って来た私を見るとビクリと震えて
涙に濡れた赤い目で

「誰?」

まるで初めて私を見るみたいに怯えながら言った


その姿を見て


ああ


フェイトママじゃないんだ


フェイトママは戻ってきてないんだ


って思った


だけど酷く怯えたその姿が、本当に小さな子みたいで
誰?と言われたショックよりも先に

その、私より大きな体をゆっくり恐がらせないように抱きしめる

「大丈夫。恐くないから」

そしてその背中をゆっくり撫でる
今まで私がフェイトママにそうされてきたように

「大丈夫だよ。大丈夫だからね」

何が大丈夫なのか私にも分からなかったけど
何回も何回もゆっくりと撫でる

暫くすると腕の中で大人しくなっていった

「痛い所ある?」

聞くと小さく頷いた

「何処が痛いの?」

そろそろと腕を出して足首を指差す
私は手を置き、そこも撫でる

「痛いの痛いの飛んでいけー」

昔私が小さかった頃転んで怪我をしたり、風邪を引いてお腹や頭が痛いと泣くと
ママ達二人はよくこう言って撫でてくれた

そんな事を思い出していると

「母さんも・・・それやってくれるよ?」

小さな声が聞こえた

「母さんってフェイトママの?」

つい呟いた言葉に

「違うよ!!」

過剰に反応され、腕の中から勢いよく顔があがる
その目尻には又涙が溢れていく

「アリシアだよ!フェイトじゃないよ!ママでもないよ!」
「あ・・・ごめん」

咄嗟に謝ってしまった

「どうして皆わたしの事フェイトって呼ぶの?!」


ドクリと心臓が一つ鳴る


「どうして!!」


だって、フェイトママだから
貴方は私のママなんだよ


言葉を飲み込んだ


涙を一杯に溜めて怒っているその姿は確かに私の知るフェイトママじゃない

「ごめんね」

その両目からポロポロと涙が零れ落ちる

「ごめんね」

そしてもう一度抱きしめる


これは、フェイトママの体フェイトママの声
だけど、フェイトママじゃない


私はアリシアが誰なのか分からない
さっきの様子から、ママは『アリシア』を知っているようだった

一体、何が起こってるんだろう
これから先どうなるんだろう

不安ばかりが胸に広がっていく

だけど、今この腕の中にいるのは幼い女の子

フェイトママだけど違うんだ


違うんだ


フェイトママは


戻ってこなかった


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そう、あれから三日

泣きつかれたフェイトママの姿のアリシアは眠ってしまった
私は病室を出てなんとはなしに院内をぶらぶらする

この三日間ママはじっとフェイトママの側にいたけど、
今日は何処かに出かけていった

相変わらずアリシアについては詳しくは教えてはくれない
聞いてもなんだかはぐらかされるだけで

『フェイトちゃんは直ぐに戻ってくるから。ヴィヴィオは心配しないで』

最後にはいつもそう言われた
やっぱりママは何かを知っているんだ

だけどそれを私に言えない理由ってなんなんだろう
つらつらと考えていると

「あっ」

目に入って来たもの、それはとても懐かしいものだった
いい考えが浮かびそれを手にし急いで病室へと戻ると
丁度良くアリシアは目を覚ましていた

「アリシア」

抱えた膝から顔があがる

「アリシア、いいものあげるよ」

私は後ろに隠していたものを目の前へと出す

「うさぎ・・・さん?」
「うん」

それは昔初めてママから貰ったプレゼントと同じうさぎの人形

「少しは寂しくなくなるでしょ?」

アリシアはうさぎの人形をぎゅっと抱いた

「名前・・・」
「え?この子の?」

うさぎの頭に手を置いて聞くとアリシアはふるふると頭を振った

「違う、お姉ちゃんの」

お姉ちゃん

それってまさか

「私?」

驚きながら自分のことを指差すと今度はこくりと頷いた

フェイトママの口から私に向かって『お姉ちゃん』なんて言葉が出るなんて
やっぱり少し動揺したけど

「ヴィヴィオだよ」

笑って答えてた

「高町ヴィヴィオ」
「ヴィヴィオ・・・お姉ちゃん?」


一瞬、涙が出そうになる


「そう。よろしくね、」

少し間を置いて


「アリシア」


名前を呼んだ

「うん!」

初めて笑ったその顔は、いつも見せてくれたフェイトママのそれより
やっぱり少し幼くて

「わたしね、猫飼ってるんだよ。リニスって名前なの。
今度ヴィヴィオお姉ちゃんには見せてあげるね」
「アリシア」

もう一度名前を呼び、抱きしめる

「お姉ちゃん?」
「私が守ってあげるからね。絶対に」


守る。私が絶対に守る


心からそう思った


それはフェイトママとアリシア

どちらに向かってなのか、自分でも分からなかった




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