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EDENⅡ-8-



EDENⅡ-8-


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EDENⅡ-8-

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フェイトママの意識が回復しないまま一ヶ月が過ぎた
幸い容態は安定して、その顔はとても穏やかで、
まるでただ深く眠っているようにも見えた

朝が来たら普通に目が覚めるんじゃないかなって位

体の傷も大分治療されたようだけどまだ所々
骨がくっついていない部分があるようだ

早く全部治るといいのに
早く目が覚めればいいのに

ねぇフェイトママ、ママ平気そうな顔してるけど
本当は凄く心配してるんだよ
フェイトママはママに心配かけるの凄く嫌がるでしょ?

勿論私だって心配してるよ

ママも私も毎日病院に行ってるんだよ

私がフェイトママに会いに行くのは学校が終わってから
ママはお仕事があるからそれが終わってから、それぞれ大体一人で行く
二人のお休みが重なった時は一緒に行くけど

病院に行ったらね、今日あったこととか
誰とどんな話をしたとかフェイトママに話かけてるんだけど
ちゃんと届いてるかな?

この間ママが今度一緒に久しぶりに海に行かないかって言ってたの聞いた?

今は泳ぐ時期じゃないから眺めるだけだけど
そういう海もいいよねって
フェイトちゃん海好きだしねって
二人で色々なお話しようねってフェイトママに言ってた

それを隣で聞いてたんだけど
じゃあ私は波とでも追いかけっこしようかな、
それともカニでも探そうかなって思ったんだよ

『普通女の子って貝殻とか集めるんじゃないの?なんでカニなの?』
『カニってお家で飼えるのかな?』

なんてきっと二人は顔を合わせて言うと思う

そして私はニシシって笑いながら

そんな二人に手を振るんだ

そういうの想像しただけで、なんだか楽しいね


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今日も私は学校の帰り病院に寄った

病室に入ると眠るフェイトママの脇にはアルフさんが座っている
アルフさんも毎日フェイトママの所に来る

フェイトママの容態が安定してからはアルフさんの調子も良くなった

「こんにちは。アルフさん」
「お帰り。ヴィヴィオ」

いつもの挨拶をして私はアルフさんの隣に座る

アルフさんはベットに肘をついてフェイトママの顔を眺めている
私もいつものようにその顔に話しかけた

「フェイトママ、今度テストあるんだ。実技と学科。実技は得意なんだけど
学科は苦手な所があってね。フェイトママに教えてもらいたいな」

アルフさんはそんな私の話しををいつもニコニコと聞いている

「この間教えてもらった所もね、クラスで正解したの私だけだったんだよ」
「フェイトは昔から勉強得意だったからね。なんたって勉強を教えたのは
リニスだったから」

自慢気に胸を張るアルフさん

「リニス?」

初めて聞く名前に首を傾げる

「おや?フェイトから聞いた事無いのかい?」
「無い・・・です」

なんだかちょっとおもしろく無い気分
フェイトママとアルフさんは小さい頃から一緒だったから
私の知らないフェイトママを知っていても仕方ない

ママに出会う前からアルフさんはフェイトママと一緒だって言ってた
だからママだって知らない事もあるかもしれない

それなら尚更私が知らないことがあってもしょうがない

けどやっぱりちょっと悔しい

「そのリニスさんってフェイトママのなんだったんですか?」

アルフさんはベットに肘をついたまま目を細めて笑う

「リニスはね、あたしと同じ使い魔だったんだよ。プレシア・テスタロッサのね。
そしてフェイトの先生だったんだ」
「プレシア・テスタロッサ・・・ってフェイトママのママ?」
「そう。あたしは大っ嫌いだったけどね」

そう言ってアルフさんはベー、っと舌を出した

「でもリニスは好きだったよ。私もフェイトも。まぁフェイトは結局
自分の母親のことも最後まで慕ってたけどね」

今でも飾られているフェイトママとフェイトママのママとの写真

「ねぇアルフさんフェイトママってその、自分のママに何か酷いことされたの?」

アルフさんは顔をしかめた

「ヴィヴィオはフェイトの昔の話聞いたことないのかい?」

えーと、と前に聞いた話を思い起こす

「フェイトママのママが亡くなってから、リンディさんに引き取られて
執務官になって、機動六課に出向になって、私のママになって・・それから・・」

唸って考えるけどそれ以上の話はしてもらった事が無い
私も詳しく話して欲しいと言ったことはないし

「そっか。でもフェイトがプレシアの話を詳しくしてないのならあたしが
プレシアやリニスの話をする必要は無いね」
「えー」

折角だから教えてくれてもいいのにと
私は口を尖らす

「まぁフェイトは今幸せだから何も過去の話をほじくり返さなくてもいんだって」

そう言うとアルフさんはフェイトママの左手を取る

「この指輪。あたしも一緒に買いに行ったんだよ」
「『家族の証』」

アルフさんが頷く

「うん。確かそんな事言ってたっけ。それで実はあたし少し嫉妬したんだよ。二人に」
「私達に・・・ですか?」

アルフさんは小さな両手でその手を握る

「だって、今までずっとフェイトの家族は私だったんだ」
「あ・・・」

そして握った手に頬擦りをした

「ずっと、小さな頃から。あたしとフェイトは一緒で、本当は
使い魔と主って立場なのに全然そんなんじゃなくて。フェイトは本当に優しくて」

私は下を向いた

その目尻に涙が浮かんだのが見えたから

「私達が取っちゃったんですね。フェイトママのこと」
「馬鹿、違うよ!」

そう言うとアルフさんはぐいっと腕で自分の顔を拭って
パッと私の方を振り返る

「そりゃあさ、さっきも言った通り少しはやきもち焼いてるけど、
あたしはフェイトが笑っててくれさえすればいいんだ。あんた達二人といる時、
フェイト凄く幸せそうなんだよ」
「アルフさん」

アルフさんはがしがしと私の頭を撫でた

「フェイトはさ、幸せなんだよ。二人のお陰で。ありがとね。
だからきっとフェイトは直ぐに目を覚ますよ。だって、大事な人達が待ってるんだ」

私も目に力を入れて涙が溜まらない様にする

それでも潤みそうになったから上を向いた


「海に行くんです」


きっとママ達二人は寄り添ってる


「フェイトママが目を覚ましたら。一緒に海に行くんです」


そして私はそんな二人に手を振るんだ


「アルフさんも一緒に行きましょう」


アルフさんと一緒に


手を


「いいね。楽しそうだ」
「はい」
「ほら、フェイト。やっぱり早く目を覚まさなくちゃ。楽しい事が一杯待ってるんだよ
一杯の人が待ってるんだから。早く目を覚まさなくちゃ」


私も握るその手に自分の手を重ねた


「フェイトママが早く戻って来ますように」



神様お願いします



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だけど


四人で海へ行くことはなかった


フェイトママとは



行けなかった



フェイトママは



戻って来なかった



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