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EDENⅡ-6-



EDENⅡ-6-




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EDENⅡ-6-

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ガラス越しにその姿を見た時、ヴィヴィオを連れて来なかった事に安堵した
私でさえ目の当たりにして頭の中が真っ白になった。ある程度は予想していたのに

細い管が何本も身体に伸び、その横では心拍を確認する機械音が聞こえ、
痛々しく全身に包帯が巻かれている

あの優しい色をした両目は今は固く閉じられていて

両手と額をガラスに押し付けぎゅっと目を閉じる

動悸が早鐘のように打っている


苦しい

痛い

悲しい

痛い

寂しい

痛い

恐い


置イテ イカナイ デ


痛い


置イテ イカナイ デ


そんな事したら絶対許さないよ


許さないよフェイトちゃん


色々な負の感情が胸の中をぐるぐると渦を巻く


フェイトちゃん

早く起きて

フェイトちゃん

早く笑いかけて

フェイトちゃん

早く名前を呼んで


フェイトちゃん


ごりっ、と耳の奥で鈍い音がし口の中に錆びた味が広がる


早く目を覚まして!!フェイトちゃん!!


私がここにいるのに!!


ガラスに一つ、拳を叩き付けた


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「なのはちゃん!」

自分の名前を呼ばれはっ、とする

閉じていた目を開け、顔を上げるとそこにははやてちゃんが
いつの間にか立っていた

「はやて・・・ちゃん・・?」
「なのはちゃん。血ぃ、出とるよ」

はやてちゃんはポケットからハンカチを取り出し私の口元にあてる

「私は今来たとこや。もう少ししたらシグナム達やハラオウン家の人達も来るよ
それにしても何しとるん?」

顔を覗き込まれる
バツが悪くて視線を逸らした

「なんやなのはちゃん。えらいらしくない顔しとるよ?」
「らしく・・・無い?」

らしく無いって何?

フェイトちゃんがこんな時でも私は取り乱しちゃ駄目なの?!

叫び出しそうになる


頬を挟まれた

「もしかしてなんや駄目なことでも考えてるん違う?」

はやてちゃんは真剣な目で私に問う
私は何も言えない

「フェイトちゃんがもしかしたら駄目になるかもしれへんとか思うとるん違う?」

どうなん?と、ぎゅっと肩を掴まれる

「なのはちゃんがそんなんでどうするん?」

はやてちゃんの言葉は、私にはうまく届かない

「だってフェイトちゃんこんな姿になってるんだよ?!」

我慢出来ずに訴える

これは弱音以外の何ものでもないことを知っている
だけど吐かずにはいられない

「阿呆!なのはちゃんが一番に信じてあげへんでどないするん?
しっかりせな!ヴィヴィオだって心配しとると違うの?」


ヴィヴィオ

ヴィヴィオは待ってる

家で一人で


「大丈夫や。フェイトちゃんが頑張れない筈ない」
「何が大丈夫なの?ねぇはやてちゃん。教えてよ、見てよ。フェイトちゃん
全然大丈夫なんかじゃないよ。お願いだから教えて」

私は懇願する

もう自分を保ってられそうに無い

はやてちゃんが優しく私を抱きしめた
冷えた体に温度が通う

だけど今はそれが不快でしか無い


「離して」


フェイトちゃんしかいらない
フェイトちゃんしか感じたくないのに


「なのはちゃん。そんなに私に殴られたいんか?」

きつい言葉が耳に届く

「だっ・・・てフェイトちゃんじゃ・・・ない・・・」

言葉とは裏腹に私はその体に縋る


「フェイトちゃんが、もしいなくなったら・・・・」

あの時、フェイトちゃんが刺されたと思った時よりも
もっともっともっと混乱している

「フェイトちゃんがいなくなったら、私は」

突然この世界から


イナクナル カモ シレナイ

ソウシタラ 私 ハ


自分を保つ事だけで今は精一杯だった


パンッっと小気味良い音が響く
続いて鈍い痛み

「いい加減にし!!」

押さえた頬は熱を持っていた

「フェイトちゃん今頑張っとるんよ?きっと必死で頑張っとるんよ。
戻ってこようと、きっと。なのになのはちゃんがそんなんでどないするん?!
しっかりし!!」

私は呆然とする


視界には何も映らない


「なぁ、なのはちゃん。あんたの知ってるフェイトちゃんはそんなに
弱いんかな?ここで全てを手放して、色々な人を悲しませて逝ってしまう程
優しくないんかな?皆、泣くって、悲しむって知ってるのに」


『なのは』


思い浮ぶのは綺麗な綺麗な笑顔


「フェイトちゃんは・・・そんな事しない・・・」


フェイトちゃんごめん


「皆が悲しむ顔が・・・一番嫌い」


フェイトちゃんは誰よりも誰よりも


「そうや。やっと分かってくれた?」


優しい


たゆたう穏やかな瞳が私を見つめている


誰よりも誰よりも


「はやてちゃんだ・・・」
「なんや、今更私に気づいたような顔やで?」

はやてちゃんは不適に笑った
まるで場違いみたいに


「大丈夫や」


強い両眼で


「大丈夫やから」


断言した


それは、私の求める言葉


「フェイトちゃんは戻って来る。必ず」


私は安心した


フェイトちゃんは


きっと



戻ってくる


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