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EDEN-22-


フェイトちゃん、ヴィヴィオ


『家族』ってなんだろう


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EDEN-22-

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自分のあげた悲鳴で体の呪縛が解ける


「フェイトちゃん!!!!」


崩れ落ちた体に駆け寄り流れている血液を止めようと
上着を脱ぎそれでその場所を強く抑え頭を膝の上に上げる

その瞳は閉じられている

「フェイトちゃん!!フェイトちゃん!!駄目!!」

私の呼びかけに薄っすらと目が開かれる

「あぁ・・・なの・・・は」
「フェイトちゃん!!」

まだ大丈夫。絶対に大丈夫。
フェイトちゃんが駄目になる筈がない

「フェイトちゃん。大丈夫だからね。今誰か呼ぶからね、
誰か!!誰か来て下さい!!」

大声を張り上げる
その直後バタバタと足音が聞こえた

「どうしました?!」
「重傷者がいます!!至急病院へ搬送して処置をする準備を整えて下さい!!
胸を二箇所刺されています!!」
「刺された?!い、今廊下で走っていく職員を見たんですが何か関係が」
「早く準備を!!」
「わ、分かりました!」

その人が部屋を慌ただしく出て行くと、
私達はしんと静まった部屋に二人きりになった

「フェイトちゃん、もう少し、もう少しだからね。頑張るんだよ?」

フェイトちゃんが手を伸ばし私の胸を押す

「な・・・のは・・・汚れるか・・・ら離し・・て」
「何、言ってるのフェイトちゃん・・・」

この後に及んで。と、唇を噛む

「ねぇ・・・なのは・・」
「フェイトちゃん。喋らないで。じっとしてて」

額にかかった前髪を払う。その前髪は付着した血液で重くなっていた

「今、助けが来るからね」
「なの・・・は手を」
「え?」

フェイトちゃんは私が上着で押さえている両手の上に
よろよろと手を重ねた


「手を、握ってて・・・くれない・・・かな?」


自分の視界が霞む

「駄目だよフェイトちゃん、ここ押さえてないと駄目なんだよ。
ね、フェイトちゃん」

フェイトちゃんは寂しそうな顔をした


「きっと・・・私の最後の・・・・お願い・・・だよ」


そして


笑った


いつものように


綺麗な綺麗な顔で



笑った




最後ノ


願イ?



「そんな事無い!!そんな事あるわけ無いよ!
最後なんて・・・・そんな事言わない・・・・で」

視界が完全に塞がる

「なの・・は・・・・手・・・を」
「嫌!!フェイトちゃん嫌だよ!!」


この手を握ってしまったら

フェイトちゃんが消えてしまいそうな気がした


フワリとした感触を手に感じ
弱々しい力で握られる



「なのは・・もう・・・離れたく・・・ない・・・よ」




心臓ガ  



壊レル カト



思ッタ



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フェイトちゃんは


優しくて、温かくて、純粋で、強くて
しっかりしてて、真面目で、真っ直ぐで

いつも側にいてくれて、怒ってくれたり、慰めてくれたり
褒めてくてたり、心配してくれたり

そんな時、あぁ。大事にされてるんだなって
心から安心出来て、幸せだなって感じた

でもそれがいつからだろう



胸の『痛み』を伴うようになったのは



誰から見てもフェイトちゃんは特別な特別な人で
そんな特別な人が

いつまでも特別じゃない私の側にいてくれる筈が無い



私達には何の繋がりも無くて

ヴィータちゃんみたいにはっきりと絆があるなんて言え無くて
居てもらってるのにそんな事言える筈もなくて

ただ側にいて欲しいとそんな漠然的な願いの元で


ずっと一緒にいられる筈が無い


いつか必ず離れなくちゃ行けない時が来る


それに気付いた時

そのいつかが突然やって来たらと考えると
それに耐えられる自信が無かった

だから少しずつ離れてしまうことに慣れないと
いつも側にいない事に慣れないと


でも、ずっと近くにいたい

この矛盾する願いをどうすればいいのかと考えて


フェイトちゃんに家族が出来たのなら

フェイトちゃんの一番が


私達ではなくなったら



この胸の痛みがなくなると思った
フェイトちゃんが側にいない事を諦められる

そうしたら前みたいに戻れる

一緒にいるだけで楽しくて、嬉しくて
そこには痛みなんて存在しなくて

ずっと昔幼かった頃のように繋がっていられる


でも苦しかった


こんな事を考える自分が苦痛だった
自分が自分じゃなくなったみたいで

どうしてこんなに苦しいのか分からなくて
でも誰かに相談したら私はきっとおかしいと言われる

友達に対してこんな風に思うだなんて絶対におかしいと思われる


私はおかしい


ずっと私達だけの事を一番に想っていて欲しいだなんて
ずっと私達だけの側にいて欲しいだなんて


『私、女じゃなかったらよかった』


違う。それは違う


男とか女とかじゃない
男でも女でも

どちらでもきっと



同じだった

同じ位


苦しくて


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「恐かったの」
「なの・・・は?」

私は緩く握られた手を強く握り返す

「フェイトちゃんが私達から離れていくのが恐かったの。
いつか私達から離れていくなら、私の方から離れようと思った。
その方が、私・・・・私が・・・」

ぎゅっと目を瞑った途端溜まっていた涙がぼろぼろと流れ落ちた


「傷つかない・・・から・・・」


気付いていた

自分がどんなに醜いか


「私は卑怯で、ずるくて・・・フェイトちゃんヴィヴィオの事、
大事にしてるって・・・知ってたのに・・ヴィヴィオもフェイトの事
大好きだって、必要としてるって・・・分かってたの・・・に」


自分の我の為に二人を引き離した

だから本当なら私が、
私がフェイトちゃんの代わりにこうされるべきなのに


「ただ、恐かっ・・・たの。フェイトちゃんを・・・いつか
失うかも・・・・しれないって、私達じゃない誰かのとこに
いつか突然行ってしまうのが・・・恐か・・・った」



これは『罰』だ



「ごめんな・・さい。ごめ・・・んなさい・・・ごめ」


ポツポツとフェイトちゃんの頬に私の涙が落ちていく


「フェイト・・・ちゃ・・ごめん・・・ごめんね・・・」



神様お願いします


私は何でもします


だからこの人を



連レテ 逝カナイデ 下サイ



「なのは」


静かにフェイトちゃんが言葉を紡ぐ


「なのはの方が私より馬鹿だね」


まるでそれはいつもの口調で、
最後の力を振り絞っているかのように見えた


「フェイトちゃん・・・・もう喋っちゃ・・駄目だよ・・・」
「なのは、聞いて。私は、二人の側を離れたりしない」

頬に触れる温もり

「何にでも誓えるよ。なのはとヴィヴィオ。二人の事」

フェイトちゃんは目を閉じた


「愛してる。心から、愛してるから。」



『心』は


何処にあるんだろう



「ん・・・うん。うん・・・私も・・・私もだよぉ・・・
私も二人の事・・・」



それを今、取り出して見せる事が出来たら
散々嘘をついた私の事を


信じて貰えるだろうか



「愛してる。フェイトちゃんがいないならこの世界で
もう、生きてる意味なんてない」


目を閉じたフェイトちゃんはくすぐったそうに笑う

「なのは。そんなに想ってくれてたんだ」
「そう・・・だよ・・・」

こんな事になるなら、もっと早く言えば良かった
どんな風に思われても告げるべきだった


「あぁ、そうだ。思い出したよなのは。なのはの『夢』」


フェイトちゃんの体から力が抜けていくのが分かった


「フェイトちゃん、嫌だ・・・嫌だよ・・・こんな時になんで
そんなこと・・・」

その体に縋り泣きじゃくる


「『皆。笑っていますように』」


恐い


恐い


恐い



「そうだね。それ、いいね。『皆。笑ってますように』・・・
これから・・・も・・・ずっ・・・と、ず・・・っと」

声が消え入っていく


そして


「フェイトちゃん!!!逝っちゃ駄目!!逝っちゃ駄目だよ!!」



動かなくなった



「フェイトちゃん!!!」



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動かないその体を胸に抱きながら話しかける


「ねぇ、フェイトちゃん。少しの間だけそこで待っていてね。
いつか必ず私も行くから。ヴィヴィオが悲しむから後は追えない。
そんな事したらフェイトちゃんの所に行けないかもしれないしね。
それにフェイトちゃんもきっと怒るでしょ?だから悪いんだけど待っててくれる?」


勿論

返事は無い


けれど続ける


「フェイトちゃんだったらきっと待っててくれるよね。
そして又一緒に三人で暮らそう。だって私達」


最後まで言えなかった言葉

本当は一番言いたかった言葉



きっと、今度会ったら一番に言うよ





「私達。『家族』だもんね」





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「やっと言った」


いつの間にか目の前に




ヴィヴィオが立っていた




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