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EDEN-21-


空から十字架が降ってきた






あぁ、これは『罰』だ


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EDEN-21-

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「初めて会った時からフェイトさんが好きでした。自分はまだ未熟で、
年下ですが、フェイトさんに釣り合う男になれるように努力します。
僕は貴方の事を守って行きたい。一人で無理なんかさせません。
だからこれからは僕の隣を歩いてくれませんか?」

真剣な顔で熱弁するその横顔を私はぼんやりと眺めていた

特に何も考えるは無かった
頭の中に何も浮かんでは来なかった

すると今度は私の方を振り返る

「教導官、僕がこれからフェイトさんを守ります。
教導官に誓って僕がフェイトさんを守ります。
貴方にも認めて頂けるととても心強いんですが」

息継ぐ暇も無く矢継ぎ早にそう言われる
フェイトちゃんの方を見るとまだ固まったままでいる

視線はそのままで

「そういう事は二人で話し合って決めたらいいんじゃないかな。
私はフェイトちゃんがいいならそれでいいよ。反対する権利なんて私には無いし」
「そうですか。すいません。お引止めして。ただフェイトさんと
一番親しい教導官が僕の味方になって頂けたらなと思って」

私はその言葉を無視して踵を返す

「それじゃ」


今度こそ

じゃあね


フェイトちゃん


心の中でそう告げた時、ガクリと私の体が揺れる

「なのは」

フェイトちゃんが私の手首を摑んでいた

「フェイト・・・ちゃん?」
「なのは、嫌だ・・行かない・・・で」

その目から一筋の涙が零れる

「行かな・・・いでよ」

フェイトちゃんが泣いている
人前では決して涙を見せた事が無いのに


私以外ノ 人モ イルノニ


「どうして?どうしてなの?」

私の心がザワザワと音をたてる

「フェイトちゃん、駄目だよ離して。見られてるよ」
「誰に見られたって構わない。なのはを行かせる位なら」

涙で滲んだその奥には意思の強さが見える

「私は嫌だよ。離してフェイトちゃん」


フェイトちゃんのこんな姿


誰にも見られたくない

誰にも見せたく無い



「なのは・・・」

ボロボロとフェイトちゃんの涙が落ちていく

「なのは、お願い・・・」

そしてフェイトちゃんの膝が崩れた

「お願い・・・」


私の右手を握り、膝を付きうな垂れるその姿は


まるで


何かに祈っているように見えた


「フェイトさん!!」

今まで黙って成り行きを見ていたのだろう執務官の子が
フェイトちゃんに駆け寄って来た

「い、一体どうしたんですか?なんでフェイトさんが泣いてるんですか?
教導官!何があったんですか?!」

狼狽したように喚きながら、その子はフェイトちゃんの肩に触れようとした


「触らないで!!」


その手を私は弾く

「きょ、教導官?」

私の行動に弾かれた手を押さえオロオロとしている

「フェイトちゃんに触らないで」
「ど、どうして」

今度は怯えたような顔

さっきは大きな事を言っていたけど所詮この程度なのかと落胆する
私の一言で縮み上がるようではとてもじゃないが
フェイトちゃんを守っていけるとは思えない

「前言撤回。貴方にフェイトちゃんは任せられない」
「え?なっ、何を言って・・・」
「フェイトちゃんを守るだなんてそんなんじゃ10年早いよ。出直して来て」

その顔色に赤みが差した

「ど、どういう意味ですか?!それにさっき自分にはそんな権利は無いと
言ったばかりじゃ無いですか!!」

一人騒いでいるその子を睨む

「うるさい。黙って」

ビクリと体を硬直させ、ギシリと音を立てて歯を食いしばっていた


こんなのにかまってはいられない


私はフェイトちゃんの前に跪く

「ほら、フェイトちゃん」

ポケットからハンカチを取り出してその濡れた頬に当てる

「泣いたりしなくてもいいのに。馬鹿なフェイトちゃん」
「なの・・・は、なのは。なのは」

何度も呼ばれる私の名前

「大丈夫だよ。フェイトちゃんにはもっと良い人が現れるからね。
フェイトちゃんは綺麗で優しいから、きっとたくさんの人が選んでくれるよ。
でもね、ちゃんと相手は選ばなきゃだよ。必ずぴったりの相手はいるから。
そしていつか紹介してね」
「そんな人いらない!!」

フェイトちゃんが大きな声をあげた

「私はなのはといたい!それ以外の人とだなんて嫌だ!」
「だからそれは駄目だよ。出来ないの」

私は根気強く言い聞かせる

「フェイトちゃんを心から愛してくれる人と結婚して、子供を産んで
家族を作るんだよ。そして私とヴィヴィオとフェイトちゃんの
家族とずっとずっと仲良しでいようよ。きっと楽しいよ。だから・・・・ね?」

フェイトちゃんは首を振る

私は深く溜息をついた

「分かったよ。フェイトちゃん」

フェイトちゃんはパッと顔を上げる


私は微笑む


「じゃあ又、お話ししよう?」
「え?」

フェイトちゃんも私も日常は仕事で忙しい
特にフェイトちゃんは航行に出ると何ヶ月もミッドには帰っては来ない

だから


「とにかく今日は忙しいから又今度」


又、今度は


きっと遠い


そうやって段々距離が出来ていく筈だ


「又、今度ゆっくり話し合おうよ。ほら、フェイトちゃん立って」

その手を引き立ち上がらせ、膝に付いた埃を払ってあげる

「もう、突然膝付くからびっくりしちゃったよ」

その顔には涙の痕が残っている
もう一度ハンカチで丁寧に拭った

「じゃあそこまで一緒に行こうか」

袖を引き、ドアの前まで連れて行く
この部屋さえ出てしまえば

ドアノブに手をかける



「待て」



静かな低い声が聞こえた

振り返る


「その人は僕のだ」


目が随分と虚ろだった


「誰にも邪魔なんかさせない」


じっと私達を見据え淡々と話している

私は一体何を言っているのだろうと怪訝に思う


「僕のモノにならないのなら」


何かが制服の胸ポケットから引き抜かれた
ギラギラと光る鋭利な銀色


息を呑む


「誰かのモノになる位なら」


ユラリとその体が前に揺れた


と、



フェイトちゃんの体も、その動きに吸い込まれるように前に揺れる


その動作は



自分の意思で動いたように見えた




そして



胸に深く根元まで刺さる



ソレ



「安心しました。これで貴方を誰にも渡さないですむ」


その体を支えながら耳元にそっと囁き



一気に



引き抜いた



引き抜かれた拍子に飛んだ冷たいぬるりとした液体が、
私の頬を濡らす


「これで貴方は僕のモノです」


そう言って優しく笑い


再度



深く突き刺した



それら全てがコマ送りのようにゆっくりと動いて見えた



まるで


悪い夢を見ているようだった


ただ、床を濡らしていく赤いものだけが、
現実味を帯びていて



コレハ一体 何ナンダ ロウ?



「あ・・・・っあ・・・」


足元が歪んだ


その背に手を伸ばしたい


だけど、身体が鉛を背負わされているように重くて動かない



「僕らに祝福を」







引き抜かれた



飛び散る



赤、赤、赤



そして




崩れ落ちる体
ふわりと宙を舞う金色の髪



「イヤぁぁぁあああああああああ!!!!!」



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モウ



生キテイル 意味ナンテ 



無イ





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