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EDEN-20-


視界に入らないで
耳にその声を届けないで



私のことを忘れて




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EDEN-20-

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フェイトちゃんは応接用のソファーにも座らず
部屋の真ん中に立っていた

どうしてこんな所にいるのかと、どうして私を呼び出したのかと
密かに動揺する

「どう・・・したのフェイトちゃん。お仕事は?」
「なのはが今日ここに来るって聞いたから抜けて来たよ」

その表情は柔らかく、どんな意図を持っているのか検討もつかない

「わざわざお仕事抜け出さなくても。通信とかで良かったのに」

私はドアの前で立ったまま笑って言う

「『家に来てくれれば良かったのに』とは言ってくれないのかな?」

何処か私に対して挑戦的な言い方
怒っているようにも感じる
なんだかいつものフェイトちゃんじゃ無い気がする

「それとももう私はあの家には入れて貰えないのかな?」

続いたその言葉に驚いて顔が強張る
フェイトちゃんがこんな事を言うなんて、にわかに信じられなかった

「そんなことは・・・」
「私にヴィヴィオを会わせるの、嫌?それともなのはが私には
会いたくなかった?」
「そんなこと!っ・・・」

無いとまでは言えなかった。フェイトちゃんが出て行ってからの
私の行動はそんな風に取られても仕方無かった

連絡の一本も入れなかった
家を出て行く時何処に住むのかも聞かなかった
そういうのは全部もう少し時間を置いてからにしようと思っていた

少しづつ少しづつ前みたいになっていこうと思っていた


『久しぶりだね。元気だった?』

って軽く言えるようになるまで


なのに突然目の前に現れるだなんて予想もしてなかった

頭の中が何もかもごちゃごちゃになっている

「私、なのはの考えていること全然分からなくて。ごめんね。
ずっと一緒にいたなのはのこと理解してあげられないなんて
自分でも凄く情けないんだけど、やっぱりどうしても今回のこと納得が出来ないんだ」

フェイトちゃんがこんなに自己主張するというのも珍しい
普段なら相手の気持ちを汲んで、自分の意見をぶつけることなんて
滅多に無いのに

「何が・・・納得出来ないの?」
「なのは。もうちょっと側に来て。そこじゃ遠いよ」

躊躇する


側に、行きたくない


「ゆっくり。話しがしたいんだ」


嫌だ、話をしたくない


「私、この後も仕事があるから、そんなに長く話せないよ。
それに話したいことは、あの日車の中で言ったことが全部だから」

私の答えにフェイトちゃんの表情が曇る

「ねぇ、なのは」

ゆっくりとフェイトちゃんが近づいて来る


「そんなに私の事を拒絶する理由って何なのかな?」


ドクリドクリと心臓が鳴る


確かに私は拒絶している


『あの』、フェイトちゃんを


気が付くともう、フェイトちゃんは目の前まで来ていた


折角


「そんな怯えるような顔をされる事を私したかな?」


離レル 事ガ 


「もしかして」


出来タノニ


「私の事嫌いになった?」
「違うよ!!」

自分でも想像したより大きな声を出してしまい
咄嗟に自分の口をバッと押さえる

感情的になっちゃ駄目だ。もっと冷静にならなきゃ
もっと、冷静に冷静に

だけど

「なのは」

その両腕が私の肩に掛かる

「私はなのはとヴィヴィオ。二人と一緒にいたいよ。今まで通りに」

朱色の両眼に捕らわれる。その色から逸らす事が出来ない

「二人といることが、私にとっては一番の幸せなんだ。」


まっすぐな言葉

まっすぐな瞳

まっすぐな心


まっすぐなまっすぐな人


だけど私は首を振る

「それは思い込みだよ。長く一緒にいたからそんな風に思うんだよ」
「違う!!」

今度はフェイトちゃんが強く否定する

「昨日、ヴィヴィオに会いに行った」

ヴィヴィオに?と頭の中で昨日のヴィヴィオを思い浮かべる
特に何も変わった様子は無かったのに

「ヴィヴィオ、何も言ってなかった・・・」
「私が口止めしたんだ」
「どうして?」

肩に置かれた手に力を込められる

「なのはが、逃げると思ったから」
「逃げる?」
「そんな気がしたんだ」

確かにフェイトちゃんが会いに来るとヴィヴィオから聞いていたら
私はきっと理由をつけて会わなかっただろう

自分の行動を見透かされていたことに居心地が悪くなる

「ヴィヴィオに会って、話しをして思ったんだ。ヴィヴィオは私の娘だって、
なのはだけじゃない。私もヴィヴィオの事本当の娘だって思ってる。
戸籍とか血の繋がりとか関係無く、あの子となのはは私の」

さっきのヴィータちゃんの言葉が頭の中に蘇る


『血の繋がりも何の繋がりも無いけど、お互いを大事に思う気持ちだけは----』


「フェイトちゃん!!」


それ以上言われたら駄目だ
色々なものが崩れてしまう


「駄目。やめてフェイトちゃん。お願い・・・」
「なのは・・・どうして・・・」

吸い込まれるように私はその両頬をそっと挟む

「大丈夫だよ。フェイトちゃん。私達はフェイトちゃんがいなくても。
大丈夫だから。フェイトちゃんもそうだよ。私達がいなくても
フェイトちゃんなら幸せになれるから。寂しいのは今だけだよ。
もう少し時間がたったら元に戻るよ?平気になるよ?」

ね?っと言い聞かせるように言う

「慣れるまではなるべく離れてようよ。その方が私達にとって」

言い終わらないうちにグイッと手を強い力で引かれ、
気付いたら


その腕の中に閉じ込められていた


「なのは」

耳元で呼ばれる自分の名前に眩暈がする

「自分が何言ってるのか分かってる?」

体から力が抜けていく

「分かって・・・るよ」
「嘘だ」
「私は・・・大丈夫だよ」

ぎゅっ、抱かれる腕に力が入った

「大丈夫なんかじゃないよなのは」


私は


大丈夫じゃない?


どうして?


「側にいる。なのはの側にいるから」


フェイトちゃんが

側に


「ずっといるから」



イナイカラ?



ドンッ、とその体を突き飛ばした


目が見開かれている


「フェイトちゃん、一緒にはいられないよ」
「どうして?!」


悲痛に歪むその綺麗な顔に



「だってフェイトちゃん」



私は困ったような顔で少しだけ笑いながら告げる




「女の人じゃない」




ナンテ


酷イ 言葉 ヲ





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フェイトちゃんは固まって動かない。今は口も利けなくなっている
この時だとばかりに私は背を向けた




「失礼します。ノックはしたんですけど、返事がなかったもので」

場違いにニコニコとしながら入って来たのは


『フェイトさんは僕が一番尊敬している人間です』


あの、執務官の子


「フェイトさんがここにいるって聞いたんで。あ、教導官もご一緒でしたか」

私はニコリと笑いかける

「私はもう席を外すから」

そう言ってその脇を足早に通り抜けようとした

「あ、ちょっと待って下さい教導官」

慌てたように私の事を呼び止める
早くここから立ち去りたいのに邪魔をされたようで

「何?」

棘のある言葉を返す

「丁度良かった。教導官も少しでいいのでいて下さい」

執務官の子は、フェイトちゃんの方に真っ直ぐ向き直り
勢いよく頭を下げた


そして


「フェイトさん。僕と結婚を前提に付き合って下さい!」


そう、言った







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