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EDEN-19-


海鳴市に帰りたいな





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EDEN-19-

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例えばそれはほんの些細な事


朝目が醒めて直ぐ、隣を確認する

ご飯の支度をして食器を並べている時、空いている席をじっと見る

玄関で靴を履いていると、ふと靴の少なさに疑問を感じる

仕事の合間の休憩中に、今度はいつ帰って来るんだったっけと考える

夕食の買い物をしている時、手に取った食材に
これはあまり好きじゃなかったよねとそれを棚に戻そうとする

帰宅したら直ぐに通信を開き、受信が入っていないかチェックする


そして眠りにつく時、


手を伸ばし空いている方の場所を握りながら眠りにつく


その存在は私の中から少しも薄れることは無くて
毎日繰り返されるそんなこと達に対して、
正確には自分に対して、情けなさを感じていた

ヴィヴィオには普通通りに振舞って見せていても、
いつこの平常ではない内心を見破られるかと思うと恐かった

あんなにもヴィヴィオの心が乱れてしまっている時に
私も実は同じなんだと悟られたら一体どうなるのか


こんなことならと私は後悔しているのだろうか?


何回も繰り返し言い聞かせて、その度に頭を振る

違う。後悔なんかしていない

してなんかいない

フェイトちゃんは強いから今は少し寂しく感じてくれていても
直ぐに立ち直ってくれる

それとも、もう私達の事は割り切ってしまっただろうか

そのうちに今度お休みだから遊びに行ってもいいかと
何事もなかったように連絡を寄越してくれるかもしれない、


まるでただの

『友達』だった時のように


「馬鹿だな私。それでいいんじゃない」


声に出して自分を戒める


そうなる為に離れたんだ

『色々』なことが


手遅れにならない為に


もうちょっと時間がかかるけど
今にきっと



「そっから飛び降りたりしたら、骨折だけじゃすまねーぞ」

突然の声に、寄りかかっていた柵から体を離し振り返る

「ヴィータちゃん」

同じ制服に身を纏い腕を組んで立っている姿は
いつものように凛としている

「ここがお前のお気に入りなのか?」
「そうだね、落ち着くから」

ここは魔道師訓練場の屋上
管理局本局よりは随分と建物事態は低いけど
空に近い場所は少しだけ私の気持ちを軽くしてくれる

ヴィータちゃんの眉が上った

「昼ごはん食べたのか?」

私は笑って誤魔化す

「昨日も食堂にいなかったよな?その前もだ」
「私のことよく見てるんだね」
「なっ、誤魔化すな!」

ヴィータちゃんは顔を赤くして怒ったように組んでた腕を解いた

「ごめんね。心配してくれたんだよね」
「心配なんかしてねーよ!」

ふんっ、と言って又腕を組んだ

「ただお前が今にもそこから飛び出しそうな気がしたから・・・」

そんなに自分は暗い顔をしていたのだろうか
と、がっかりする。やっぱり隠しきれていない証拠だ

「そんなことあるわけないよヴィータちゃん」
「まぁ、あたしだって本気でそう思ってるわけじゃねーけどさっ」

そう言うとヴィータちゃんは私の隣に来て手すりに寄りかかる

「なんか、あったか?あたしでよけりゃ相談に乗るぞ?」



何カ アッタノ? ナノハ



誰かの声が頭の中に響いた

「ヴィータちゃん」
「なんだ?」

その優しそうな瞳にいつも安心させられる
私はヴィータちゃんをとても信頼している

そして何処か自分に似ているような気がする


「家族って・・・何なのかな?」


だからこんな事もヴィータちゃんになら言える

「ん?なんだそれ。お前にだって親兄弟がいるだろ」

海鳴市の私の家族は

「お父さんがいて、お母さんがいて、お兄ちゃんがいて、
お姉ちゃんがいて。普通の家族だよ」
「知ってるよ。いい家族だったな。なんか不満があんのか?、
それにヴィヴィオだっているだろ。テスタロッサだって一緒に住んでんじゃねーか」

もう一緒に住んでいないとは言わなかった

私は柵に手をかけ身を乗り出す

「うん。じゃあ、ヴィヴィオにもパパがいた方がいいかな。あ、
兄弟とかも欲しかったりするのかな?妹とか弟とか。でも
今からだと大分年が離れちゃうね。それともその方が可愛がるかな?
私もそれでお兄ちゃんとお姉ちゃんに可愛がってもらったから」

頬を撫でる風が心地良い

「それでね、フェイトちゃんにもそんな家族が出来て、
家族ぐるみでお付き合いして。お休みの日とかはどっちかの家に集まって
庭でバーベキューとかするの。そうだ、キャロとかエリオも呼んだら
喜ぶよね。勿論八神家の皆も招待するね。そういうのって凄く楽しそうだと思わない?」


そうだきっときっと凄く楽しい


それに


「なんだ。なのは、好きな男が出来たのか」

ヴィータちゃんからの答えが予想外だったので

「え?どうして?そんな人いないよ」

と、何でそんな事を思ったのだろうと疑問に感じながら聞き返す

「違うのか?『家族』になりたい奴が出来たからそんなに具体的に
想像したんじゃないのか?パパだの妹だの弟だのって」

ヴィータちゃんは訳が分からないという顔をしている
私は片手を振る

「違うよ。そうなったら楽しいよねって思っただけだよ」


それに、それなら


「なんだか言ってることはよくわかんねーけど。それでいいと思うなら
いんじゃねぇーか?ただな一つだけ言わせて貰うけど」

ヴィータちゃんは私を見上げて不適に笑う


「うちには父ちゃんも母ちゃんもいないけど、家族の定義なんてのも知らない。
だけど、あたしの家族ははやて達だ。血の繋がりも何の繋がりも無いけど、
お互いを大事に思う気持ちだけはどの家族にも負けない。
あたし達の絆はどんな家族にも負けない」


その一点の曇りの無い笑顔が今の私にはとても眩しい
特に今の私には眩しすぎて、目を逸らしたくなる

「そうだね」

目を細めて笑い返した

「まぁ、兎に角だ。ちゃんと昼ごはんは食べろ
あたしが言いたかったのはそれだけだ」
「うん。ありがとう・・・と、今日本局に寄らなくちゃいけなかったんだ」

腕時計を確認するとそろそろここを出発しないと間に合わない

「あぁ、午後の訓練はあたし一人でやっとくから」

私はヴィータちゃんにお礼を言い、屋上を後にした


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少し前までの私なら、ヴィータちゃんと同じ事を言っただろう

私達三人も同じだよって

どこにも負けないよって

きっとそれでヴィータちゃんと笑いながら
うちの方が勝つよ!!って言い合いになっていた


「お疲れ様です高町教導官」
「お疲れ様。久しぶりだね。これ今回の教導の資料」
「ありがとうございます」


でも


早くそれは違うってことに気が付いてよかった
もっともっと離れるのに時間がかからないうちに
こうなって良かった

本当に良かった



断ち切れた『絆』



「じゃあ、これでOKだよね」
「はい。ご足労願い申し訳ありませんでした。
今日はこのまま直帰ですか?」
「そうだね。訓練場は同僚に任せてるから」


ヴィヴィオ、大丈夫だよ
もう少し時間がたったら


いつか


『お呼び出し申し上げます。高町なのは教導官。いらっしゃいましたら
第14会議室までお越し下さい。繰り返します』
「あれ?何だろ」
「お忙しいですね。教導官」



いつか又



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第14会議室のドアの前、ノックし

「失礼します」

ドアを開ける



「なのは」



その声に、姿に反射的に体が硬直する



「な・・・んで?」


そこには



「なのは。久しぶりだね」





フェイトちゃんがいた









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